第3章『Lv101~150』                 第29話『釣り人の不毛なる戦い VSジュース屋』

完全に手段と目的が入れ替わってしまったオレだったが、一応お金稼ぎだけはしていた。
釣りの副産物である野菜ジュースは持っているだけでは、まるで意味のないものだったからだ。
まぁ涼里のアホは飲んだり、地面に置いて通行人の反応を見たりと、無駄に楽しんではいたがね。
野菜ジュースは目論見通りよく売れた。
1日200万~500万くらいは稼いでたかもしれん。
しかし、世を捨てたとはいえ仮にもオレは『株式会社時神商事』の会長だ。
社訓であるボッタクリのないフリマ社会の名目に恥じぬように、少し値下げしようと試みたんだ。
釣りのもう一つの副産物である鉄の箱のおかげで、エサ代は浮いていたので。
多少の値下げは問題なかったのだ。
だが激しく値下げすれば、相場が崩れてしまう・・・
値下げは相場の1割引の鉄則に従いオレは20万から18万に値下げした。
順調だったさ・・・
まとめて買っていくヤツが多かったしな・・・
そんな時ナルビクのフリマに彗星のように現れた商人が居た。
彼はジュース屋と名乗り、安いジュースを買占め、それを軽く値上げした状態で売りさばいていた。
かなり激しくやっていたため、野菜ジュースは相場が著しく不安定になっていった・・・
ジュース屋は主にオレの店のジュースを標的にしていたようだ・・・
必ずと言っていいほど買い占めていった。
オレは考えたさ・・・
ジュース屋が買い取ってくれるならば・・・
値段を吊り上げてしまえば良いではないかとね・・・
オレの目論見はこうだ。

①野菜ジュースをジュース屋に売る(22万)

②ジュース屋が儲ける為に高い値段で売る(24万)

③客が値段の高等を感じ離れる

④ジュース屋は売れ残りを防ぐ為に値下げ始める

⑤売った値段(22万)より安くなったら、今度はオレが買い占める

⑤買い戻したものを売る(18万)

これでオレだけが儲ける事が出来る。
まさに現代の錬金術だと思わないか?
フフフ・・・
自分の頭脳が怖いぜ・・・

数日後・・・

描いていた絵が見事にはまり、オレはジュース屋から金をふんだくる事に成功した。
商売人の世界は厳しい所だなと実感したもんだ・・・
そのときふと、結局オレは俗世から離れられていないことに気がついちまった。
手元には大金・・・
まさに目もくらむほどの大金があった。

さらに数日後・・・

ジュースの売れ行きが著しく低下していた。
イベント終了までは後1週間・・・
売れない時期だとは思っていた。
オレはジュースが一番売れるのは時間的に買う意外方法がなくなる残り3日がメインだと思っていた。
だから、売れ行きが落ちたのは今ならまだ時間に余裕があるため必死に釣りをするやつが増えたせいだろうと思っていた。
だが実際は違っていた・・・
オレに金をふんだくられて目を覚ましたのか、どうやらジュース屋は真っ当な商人になっていたらしい・・・
自分でジュースをゲットしオレより安く売ってたらしい。
客は安いものを買う・・・
ジュース屋は掲示板なども利用し、かなり信用を得ていた。
残りの日数でジュースを売りぬかなければならない・・・
イベントが終われば野菜ジュースはただのゴミだ。
だがここでオレがジュース屋のジュースを買い占めては意味がない・・・
結局値下げバトルに乗るしかないのか・・・
ヤツが17万ならこっちは16万。
こっちが16万ならヤツは17万。
といった具合に下がっていく・・・
そうこうしてる内に残り3日になった。
ジュースを売る露店も増えてきた。
おそらくピーク時だろうとオレは思った。
だがジュース屋との値下げ戦争で相場なんてあってないようなものだった。
潮時かな・・・
何事も引き際は鮮やかでなくてはならない。
オレはタイムセールってことで、残りのジュースを10万で出して完売させ。
フリマを去った・・・

そして・・・
長かった釣りイベントが終了した・・・
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# by tokigamihouji | 2006-05-06 21:13 | 第3章『LV101~150』